株式会社日立システムズは、11月27日(月)、ドローンの操縦や撮影代行、撮影した画像の加工と診断、データの保管・管理、業務システムと のデータ連携をワンストップで支援する「ドローン運用統合管理サービス」を強化していくことを発表した。

昨今、国土交通省が主導して建設生産システム全体の生産性向上をめざす取り組み「i-Construction」においてドローン等の活用が推奨されるなど、ドローンの利用が急速に拡大している。また、橋梁やプラント、ビル、マンションなどの高所、広範囲の点検時にドローンを活用して安全かつ効率的に劣化状況を把握したい、というニーズが増えてきている。

ドローンを活用した点検では大量の写真を撮影し、その中の ひび割れなどの劣化箇所を発見、管理する。しかし、撮影した一部の写真から劣化箇所が構造物のどこに位置するかを特定するには多くの時間を必要とするほか、過去の写真との比較により劣化の進行具合を 確認することは非常に困難であった。このような背景から、劣化箇所の位置を迅速かつ正確に特定し、構造物 全体を一元管理できる製品やサービスが求められている現状にあった。

こうした背景を踏まえ、日立システムズは「ドローン運用統合管理サービス」の画像データを加工・診断する機能を強化していく。

まず、ドローンで撮影した2次元画像(写真)から構造物全体の3次元モデルをクラウド上 で生成する機能だ。これは、世界で多くの実績があるスイスの Pix4D 社の航空写真測量ソフトウェアの画像処理技術を用いて、ドローンで撮影した大量の画像データから 3 次元モデルを生成するサービスをクラウド上で提供する。これにより、ドローンで撮影した大量の 2 次元画像(写真)から、構造物全体の 3 次元モデルを容易かつ高速に生成できる、という仕組みだ。これにより、作業効率を大幅に向上することが可能になる。
さらに、オートデスク社の API プラットフォーム「Forge」と日立システムズが開発した技術により、2 次元画像(写真)と生成した構造物全体の 3 次元モデルとをひも付けて表示できる機能を提供する。

ユーザーは、劣化(さびやひび割れ等)が写った 2次元画像(写真)をクリックするだけで、3次元モデル上 に該当する位置が表示されるため、劣化箇所が構造物全体のどこにあるかが容易に把握できるようになる。また、3 次 元モデル上で目印を付けたり、拡大表示、コメントの追記なども可能となる。

さらに、今後、AI などの技術を活用し、画像データから劣化を自動的に検出する機能も開発していく。これにより、3 次元モデル上の劣化箇所に自動で目印を付け表示することができるだけでなく、過去に撮影した画像データと比較して、劣化の進行具合を把握することも容易になる。

「ドローン運用統合管理サービス」における今回強化した機能の提供イメージ

今回機能が強化された日立システムズの「ドローン運用統合管理サービス」を利用することで、これまで 人手で時間やコストを掛けて実施していた危険が伴う高所点検や、広範囲点検を、ドローンによる写真点検 に置き換え、安全かつスピーディーに行うことができる。価格は個別見積もりとなっている。

今後日立システムズは、日立グループ各社をはじめとするビジネスパートナーと、ドローン関連ビジネス における連携をさらに強化し、「ドローン運用統合管理サービス」を拡販することで2020年度までに200社以上の導入をめざしていく。