アイ・ロボティクスは2017年11月9日、ドローン研究向けの複合施設「ドローンフィールドKAWACHI」を11月27日に開設すると発表した。所在地は茨城県稲敷郡河内町(かわちまち)。JR東日本成田線の「滑川(なめがわ)」駅から徒歩で25分ほどの場所だ。近隣に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の「神崎(こうざき)」インターチェンジがあり、都心から短時間でたどり着く。例えば東京駅八重洲口からならば、首都高速道路湾岸線、東関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)を経由しておよそ1時間20分。成田国際空港からならば、新空港自動車道、東関東自動車道、圏央道を経由しておよそ30分で到着する。海外の企業、研究機関にとっても便利な立地だ。

 ドローンフィールドKAWACHIは、2017年3月いっぱいで廃校となった町立金江津中学校の校舎、校庭、体育館を活用した施設(図1)。校庭は校舎に隣接しており、校舎内の研究開発拠点からすぐに校庭にドローンを持ち出して試験飛行を実施できる環境だ。

図1:廃校になった中学校を活用する

 アイ・ロボティクスは、日本国内ではドローンの研究開発拠点と試験飛行場が離れており、開発の速度が下がってしまっていると指摘する。そこで、研究開発拠点と試験飛行場を隣接させた施設(図2)を開設することを決めたという。

図2:ドローンフィールドKAWACHIが提供する各施設

 校舎は2つに別れており、一方はリフォームを済ませて、研究開発拠点として提供する(図3)。もう一方は東日本大震災で激しく損傷した状態のままとなっており、災害現場を想定したドローンの飛行試験などに利用できる。

図3:校舎をリフォームして研究開発拠点として提供する

 試験飛行には校庭だけではなく、校庭のそばにある利根川の河川敷と、利根川の上空も利用できる。利根川上空は、ドローンフィールドKAWACHIから西に5kmの空域まで利用できる(図4)。往復で10kmの試験飛行が可能だ。

図3:利根川上空5kmの区間を試験飛行に利用できる。往復で10kmの試験飛行を実施できる

 体育館では、雨天や強風といった悪天候時の飛行試験のほか、無風状態を想定した試験や、試験中に機体が行方不明になる可能性が高い試験などに利用できる。

 そして旧町立金江津中学校には、河内町が運営する共同利用施設「つつみ会館」が隣接しており、宿泊施設や会議場として活用できる。

 アイ・ロボティクスは、日本のドローン産業は世界の中では遅れているとしており、研究開発拠点と試験飛行場を隣接させたドローンフィールドKAWACHIの利用が始まることにより、研究のスピード向上と、他企業との共同開発などが進み、日本のドローン技術のレベルが上がることを期待している。