リアルグローブと一般社団法人 救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC)は2017年11月1日、複数のドローンを同時に飛行させる実証実験に参加したと発表した。この実証実験は10月26日に一般財団法人総合研究奨励会日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)が福島県南相馬市と、福島県双葉郡浪江町で実施したもの。複数のドローンを同時に飛行させて、物流運搬や災害による行方不明者捜索を想定した演習を実施した。

 リアルグローブとEDACは今回の実証実験で、大津波発生を想定し、自動車などに取り残された被災者をドローンで捜索することを想定してドローンを飛行させた。そして、想定通りにドローンを飛行させ、実証に成功したという。

 さらにこの飛行で、無人航空機管制(UTM:Unmanned Traffic Management)システムと、リアルグローブのクラウドサービス「Hec-Eye」、そして楽天が提供するAirMapを連携させ、被災者捜索中のパイロットと、災害対策本部で円滑な情報連携が可能であるかを検証した。

 Hec-Eyeは複数のドローンがそれぞれ飛行している位置の情報を受信し、地図上に表示してドローンの運行監視を可能にする。さらに、飛行中のドローンが撮影中の画像をリアルタイムで視聴する機能なども備える。画像や静止画はサムネイル画像を地図上の撮影地点に配置し、撮影位置がひと目で分かるように工夫している。災害対策本部と現場がクラウドにアクセスして同じ画面を見ることで、正確な情報を把握しながら連絡を交換することが可能になる。

リアルグローブとEDAC、複数のドローンが同時飛行する実証実験に参加 図 災害対策本部と現場が同じHec-Eyeの画面を見ることで、意思疎通が容易になる
図 災害対策本部と現場が同じHec-Eyeの画面を見ることで、意思疎通が容易になる

 今回の実証実験では、Hec-Eyeでドローンが収集する情報を管理し、災害対策本部と現場の連絡を円滑にしながら、ドローンの飛行ルートや高度などを管理するUTMと連携することで、複数のドローンがお互い接触することなく飛行を続け、それぞれのドローン操縦者と災害対策本部の間の連絡を円滑にできるかどうかを検証した。

 災害発生時は、複数のドローンが同じ空域で飛行するため、UTMを導入してそれぞれのドローンが事故を起こさせずに、安全に共存できる環境を作ることが大きな課題だった。その上でHec-Eyeのようなドローンが収集する情報を管理するサービスを連携させることで、ドローンを操作する担当者と指示を出す災害対策本部の連絡が正確かつ円滑なものになると期待できる。

 リアルグローブは今回の実証実験の結果を、EDAC主催で12月1日に開催するシンポジウム「地方自治体のドローン活用事例とその未来像について」で紹介する予定だという。