日本郵便は2017年9月4日、次世代の郵便・物流基盤を構築するパートナー企業の募集を開始した。「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」と題して、郵便・物流網を変革させる技術やサービスを提供できるスタートアップ企業を募る。

 Web通販利用者の急増、労働人口減少など、いま物流業界は深刻な問題を抱えている。日本郵便は今回の試みで、物流業界が抱える問題を先端技術で解決することを目指すとしている。

 応募期間は9月4日から10月4日の1カ月間。法人登記を済ませている企業の応募のみ受け付ける。また、応募チームに1人以上技術者が入っていると望ましいとしている。また、1社に付き受け付ける応募は1件のみ。また、応募条件として製品やサービスがすでに完成している、あるいは完成の目処が立っていることと、日本郵便という企業との相乗効果が見込めるものであるという点などを挙げている。

応募から成果発表会までのスケジュール

 各社の応募を審査して、10月上旬には審査結果を通知する。通過した企業は面談審査に進む。面談審査を通過したら、11月上旬から1月下旬にかけて、サービスや商品をさらに改善するために、各方面の専門家からの指導を受けられる。指導役となる「メンター」には、ベンチャーキャピタルであるサムライインキュベートのメンバーのほか、日本郵便の社長である横山邦男氏を始めとする日本郵便の経営層6人、日本郵便の現場でサービスを統括しているリーダー、さらに他社の経営者や技術者など「社外メンター」8名が参加する。

 日本郵便はこの期間に、サービスや製品を検証する環境も提供する。具体的には2種類のドローンと操縦者、管理者、ドローンの試験飛行場を提供する。試験飛行場は神奈川県平塚市、埼玉県ふじみ野市、埼玉県秩父市、福島県南相馬市の4カ所を用意している。

 2018年1月下旬には成果発表会を予定している。ここで各社は自社のサービスや商品をアピールし、その内容を見て最も優秀な企業には賞を贈呈する。また、優秀な企業にはサムライインキュベートが450万円を出資することも検討しているほか、日本郵便も出資を検討している。さらに、日本郵便がサービスなどを採用するというチャンスもある。日本郵便が採用すれば、日本郵便が持つ大規模な郵便・物流網を活用して、大規模なビジネスを展開できるチャンスをつかめる。

 たとえアイデアを採用してもらえなくても、企業経営やサービスなどに関するアドバイスを受けられたり、出資を受けられるという今回の試みは、スタートアップ企業にとっては貴重な機会だろう。このチャンスを上手く活かせば、「スタートアップ企業」から脱却して、企業として大きく成長できる可能性がある。自信のある企業は挑戦してみてはいかがだろうか。