MarketsandMarkets Research社は2017年7月7日、ドローンの飛行を防ぐ技術や機器などの市場「アンチドローン(対ドローン)市場」が、2023年には15億7130万米ドル(1791億2820万円:1米ドル=114円で換算【以下同様】)まで成長するという予測を発表した。ドローンの普及に伴い、飛行禁止空域への侵入やドローンを利用した情報の盗み出しなどの事件も増加の一途をたどっている。そのような事態に備える技術や機器、システムの市場が大きく成長するという予測だ。

 MarketsandMarkets Research社の調査によると、2016年のアンチドローン市場の規模は3億4260万米ドル(390億5640万円)だったという。それが2017年から2023年の期間に年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)25.9%で成長し、15億ドル以上の市場に成長するとしている。

 2016年のアンチドローン市場で最も大きな割り合いを占めるのが、軍事防衛向けの市場で、特定業種向け市場がそれに続くいう。近年、ドローンの違法な国境越えや、ドローンを悪用した密輸、そしてスパイ活動といった問題が増加している。その対策として、ドローン検知やドローン飛行制止などの機能を提供する効果的なシステムへの需要が今後伸び、特に軍事防衛向けの市場が大きく成長するという。

 用途別に分析すると、2017年から2023年までの期間で最も大きく成長するのがドローン検知と破壊の機能を提供するものだという。特に軍事防衛と国土安全保障向けの市場で大きく成長するとの予測だ。飛行禁止空域に侵入しようとするドローンや認可を受けていないドローンを検知し、破壊するという用途でシステムなどが普及していくという。

 国別に見ると2016年に最もアンチドローン市場が大きかったのはアメリカだという。今後は、正体不明のドローンを悪用したセキュリティ侵害や、ドローンを悪用したアメリカ国内へのテロ攻撃といった事態に備える動きが、市場の成長を加速させるという。特にアメリカでは政府が国土安全保障のためにアンチドローンシステムの導入を推進するとしている。

 この市場にはすでにロッキード・マーティン、レイセオン、ノースロップ・グラマンといったアメリカの軍需製品企業が参入している。ほかの国でもスウェーデンのサーブ、フランスのタレス・グループ、イスラエルのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ、オーストラリアのドローンシールド、スペインのアドバンスト・レーダー・テクノロジーズといった、国防、軍需に関わる企業がアンチドローン市場で活動している。さらに、この市場に新規参入するベンチャー企業も増えているという。