かもめやは2016年11月25日、それぞれ異なる種類の無人機を組み合わせて物資を運ぶ実験を実施すると発表した。2017年春から開始の予定。実験の舞台は瀬戸内海。交通の便が悪い離島やへき地に、物資を届けるために異種の無人機が連携するという構想を検証する。

陸路、海路、空路を結ぶ構想を描いている

 この実験では、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)、無人輸送船(UMV:Unmanned Marine Vehicle)、無人輸送車(UGV:Unmanned Ground Vehicle)を状況に応じて使い分けて連携させる。例えば、海を越えた離島に物資を運ぶなら、無人航空機で空を経由して島に物資を運び、依頼者宅までは無人輸送車が道路を走って物資を届ける。海を越える手段としては無人航空機だけでなく、無人輸送船の利用も想定している。

状況に応じて適切な無人機を稼働させ、連携させる

 現在、様々な企業が日本各地で空を飛ぶドローンを使った物流実験を実施している。かもめやは他企業の試みと比べて、今回の試みは状況に応じて適切な輸送手段を使い分けられるという利点があるとしている。人口密集地、狭小地、離島など、都市部では考えられないような環境で物資を輸送する手段として、今回実験する異種無人機を組み合わせた方法が効果的だというのだ。

 かもめやは、異種無人機を組み合わせて連携させるこの手法を、日本のような国土が狭いところに最適な「島国型」と呼び、今回実験する物流システムを「KAZAMIDORI」と名付けている。そして、異種無人機を組み合わせ連携させた物流実験は日本初の試みとしている。

 実験開始当初は、香川県高松市沖の離島に物資を運ぶ実験を実施する。先に述べたように、状況に応じて異なる種類の無人機を組み合わせて連携させる。以降、実験の場をほかの離島に広げていく。

 物資輸送の実験に併せて、離島の住人に遠隔地から医療サービスを届ける実験、定期的に医薬品を配送する実験も実施する。かもめやは、遠隔地の住人に医療サービスを提供するシステムを「KamomeMedical(カモメ・メディカル)」と命名している。

 かもめやは物資輸送と医療サービス提供の実験を通して、買い物難民、医療難民を減らしていき、最終的には無くすことを目指している。今回の発表では、無人機の制御手段や、法規制など、はっきりしない部分があるが、かもめやは2017年1月に実験の詳細を明らかにするとしている。