ドローンの国産メーカーであるイームズロボティクスは、用途に応じて機体構造を切り替えられる業務用マルチドローン「UAV-E6106MP」のほか、リモートID機器とリモートID用受信機を展示した。

多業種・多用途で活用できる国産ドローン「UAV-E6106MP」

物資運搬用のボックスを搭載した「UAV-E6106MP」。

 イームズロボティクスが開発した「UAV-E6106MP」はドローン本体の下部(ユニット)を使用用途に応じて換装することで、物資運搬・農薬散布・撮影・測量と幅広い分野に1機で対応する国産ドローンだ。

 福島県南相馬市に本社を置くイームズロボティクスはドローンによる災害支援事業に取り組んでおり、UAV-E6106MPは災害支援用ドローンの用途に着目して開発された機体である。災害支援に使われるドローンは緊急時の物資運搬に特化しているものが多いが、常時の使用頻度は少なく、活用範囲も狭い機体となってしまう。また、使用頻度が少ないことは実際の災害発生時に不慣れな状態で運用することにもつながり、迅速な災害支援を実現しにくいという課題もある。

 UAV-E6106MPは本体とユニットを分離できるドローンであり、一般的な可視光カメラはもちろん、レーザースキャナー、農薬散布装置、物資運搬ボックス、スピーカーなど、さまざまなユニットを搭載可能だ。災害支援用ドローンとして導入するのではなく、複数の用途での活用を目的に導入できる機体となっている。また、農薬散布機や測量用ドローンは専用機が多く、用途に応じて機体を購入する必要があるが、UAV-E6106MPであれば、1機のドローンをあらゆる業務に活用できるため、ユーザーのコスト削減にも役立つ。

防犯・警備の強化にも貢献するリモートIDの新しい活用方法

リモートID機器(左)とリモートID用受信機(右)

 イームズロボティクスは機体開発だけではなく、2022年6月の航空法改正で導入された「リモートID」の発信機も販売している。リモートIDは自動車でいうナンバープレートのように搭載が義務づけられ、搭載したリモートID機器のBluetoothによって、ドローンと操縦者を紐づけた情報が発信される。警備を行う警察などが受信機の役割を担うアプリ等を使い、発信された情報を参照できる仕組みとなっており、一般人は情報を受信することはできない。
 イームズロボティクスはリモートID機器の搭載が義務付けられたことに着目し、リモートIDの搭載有無を判別する受信機を開発し、防犯・警備体制の強化につなげるソリューションとして展開している。

 例えば、皇居のような警備が厳格な施設の警察官等は小型無人機等飛行禁止法に則り、指示に従わないドローン等に必要な処置を講じてもよいとされている。そこで、イームズロボティクスは、受信機を使ってリモートIDの搭載有無を確認することで、警察官等が対処してよい機体であるかを判別するような運用方法を提案している。

 皇居や発電所のように警備体制を厳重に整える必要があるエリアにおいて、機体の狙撃許可は下りているものの、対象機体が悪意のある機体かどうかの判別は難しい。イームズロボティクスの担当者は「対象機がリモートIDを搭載している機体かどうかを判別することで、厳重な警備体制を確保できるようになる」とコメントした。

 イームズロボティクスが提案するアッセンブリータイプのドローンやリモートID受信機を上手く活用すれば、災害対応や緊急時の警備などもより強固な体制を整備できるようになるだろう。

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