2021年1月6日、中日本航空、名古屋鉄道、ANAホールディングスは、三重県との受託契約に基づき「空飛ぶクルマ」が実用化された際のルートを想定したヘリコプターによる実証実験(三重県志摩市~中部国際空港)を行うことを発表した。

実証実験

1. 内容・目的

 三重県志摩市と中部国際空港間の移動には、地上交通を利用した場合、高速道路を利用しても約2〜3時間かかるが、空を使った移動では約20分と大幅に時間を短縮でき交通利便性が大きく向上する。
 今回の実証実験では、観光ビジネスへの空飛ぶクルマの活用を目的に、空飛ぶクルマの代替としてヘリコプターを活用した志摩スペイン村 第3駐車場⇔中部国際空港間における旅客輸送、実際の旅客機を利用した旅客の中部国際空港での乗り継ぎ、地上交通を利用した旅客の志摩スペイン村や中部国際空港での乗り換えを実際に行う事で、ルート飛行における法令や手続きに関する課題の抽出、空港や場外離着陸場における利便性確認に取り組む。
 空港内で旅客便から空飛ぶクルマへの乗り継ぎを想定し、実際に搭乗者の乗り換えを通じて課題抽出する取り組みは全国初だという。

2. 実施期間

2021年1月13日(水)、14日(木) 予備日:1月27日(水)、28日(木)
各日1往復(2フライト)計4フライト
※ ヘリコプターの運航に影響を及ぼす恐れがある悪天候等の場合は予備日へ延期。

3. 飛行区間・距離

 志摩スペイン村 第3駐車場(三重県志摩市磯部町坂崎)から、中部国際空港(愛知県常滑市セントレア1-1)まで片道約60km。

飛行ルート概要(出典「国土地理院 地理院タイル」)

4. 使用機材

Bell430(巡航速度 230km/h、定員8名)

5. 各社の主な役割

・中日本航空 :場外離着陸場の設置、運航にかかる手続き(申請)、天候判断、場外離着陸場での保安検査、ヘリコプター運航、運航管理
・名古屋鉄道 :場外離着陸場まで(から)の人員輸送支援
・ANAホールディングス :中部国際空港内での旅客誘導
・三重県 :地域および関係者との調整等

協力

・志摩スペイン村 :場外離着陸場の提供
・中部国際空港 :実証(実験)フィールドの提供
・志摩市 :地域および関係者との調整等

出発式

 実証実験に先立ち、事業の概要説明およびデモンストレーション飛行を実施する。

日時 :2021年1月13日(水)10時00分~10時40分
予備日 :2021年1月27日(水)10時00分~10時40分(予定)
※ ヘリコプターの運航に影響を及ぼす恐れがある悪天候等の場合は、予備日へ延期。

場所 :志摩スペイン村 第3駐車場(三重県志摩市磯部町坂崎)

内容 :実証実験概要の説明、デモンストレーション飛行
※ 三重県知事、志摩市長、中日本航空社長の3名が搭乗し、志摩スペイン村 第3駐車場を離陸後、周辺地域上空を5分程度旋回したのち、同所に着陸する予定。

参考

1. 「空の移動革命」実現に向けた飛行ルート策定事業について

① 本事業について

 三重県では、新たなテクノロジーである「空飛ぶクルマ」を活用し、交通・観光・物流・生活等の様々な地域課題を解決して、地域における生活の質の維持・向上をはかるとともに、新たなビジネス創出等を実現する空の移動革命を目指し、空飛ぶクルマの実証実験の誘致や事業者の支援等に取り組んでいる。
 本事業は「空の移動革命」実現に向けた飛行ルート策定業務委託の一環として実施するもので、「空飛ぶクルマ三重県版ロードマップ」に位置付けられた三重県の具体的な取り組みの一つである。

② 実施体制

主催 :三重県
受託者 :中日本航空
協力事業社 :名古屋鉄道、ANAホールディングス

2. 「空飛ぶクルマ」とは

 「空飛ぶクルマ」とは、電動・垂直離着陸型・自動(無操縦者)など、身近で手軽な空の移動手段として期待されている新たな空のモビリティである。現在、世界中で機体や各種関連技術開発が進められており、都市や地方における課題の解決が期待されている。国内においては、空の移動革命に向けた官民協議会が設立され、実用化に向けたロードマップが策定され、実用化に向けたユースケースの検討や環境整備に向けた検討が行われている(※)。

※ 空の移動革命に向けた官民協議会「空の移動革命に向けたロードマップ」(2018年12月20日)https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181220007/20181220007_01.pdf